Webサイト制作に納品は必要か

ロゴデザインやポスターデザインのようなグラフィックデザインの仕事は、請負時に見積もり書を提出し、その金額から乖離しない額で最終的に請求書を作成します。その流れからなのか、Webデザインの仕事も、Webサイトの企画・制作・公開が完了した段階で、請求を立てるというのが一般的になっていました。(以後、納品型プロジェクトと呼びます)

「成果物を受け渡し、対価を受け取る」ということは、とても自然に思うかもしれませんが、プロジェクトによっては「納品型」が適切かどうか考え直した方が良い場合もあります。

グラフィックデザインの仕事

グラフィックデザインにおいては、納品後の修正がありません。 文字が間違っていた、印刷工程でミスがあった等の場合、修正費用を誰が負担するのか問題になることはありますが、そうならないように、慎重な文字校正や色校正などの品質管理を行います。基本的には「納品したら完了」な仕事なのです。

Webデザインの仕事

一方、Webサイト制作の場合、「納品したら完了」とはいきません。 Webサイトは良くも悪くも修正が容易です。その影響か、公開前のチェックも印刷媒体より厳しくありませんので、納品したWebサイトの文章が間違っていた、ということがよく起こります。

また、Wordpress等の動的サイトを制作した場合、時間が経てばWordpressのバージョンを更新するよう警告が出るようになります。その他、ドメインやレンタルサーバー、SSL証明書などの有効期限が切れたり、利用しているサードパーティ(例えばGoogle Maps等)の利用規約や料金が変更されたりと、継続的なメンテナンスが必要です。

そして、Webサイトを有効に利用できるようになればなるほど、機能も拡張したくなってきます。お問い合わせフォームを作成したり、増えたページをカテゴリー分けしたりと、クライアントからの要望が自然と出てくるかと思います。

このように、Webサイトには「完成」がありません。 クライアントのビジネスと共に常に成長していくものですし、機能が増えれば複雑性が増し、メンテナンスが大切になってきます。Web集客を目的にしているWebサイトの場合は、アクセス数を観察し、具体的な施策を短いスパンで実施していく必要があります。1つだけの正解はありませんし、クライアントと一緒になって試行錯誤していくプロジェクトです。

納品型と非納品型

Webサイトは完成がありませんし、常に変化していくものです。 このような継続的に開発していくプロジェクトの場合、「納品型」ではなく「非納品型」を提案してみてはどうでしょうか。

「非納品型」といっても特に難しいことはなく、自分の単価を定め、「単価 × 作業時間数」を請求するだけです。「納品型」の場合でも、基本的には同じように計算した見積書を提出しますから、要は心構えだけの話です。 具体的な内容は次ページで解説したいと思います。

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